2025年3月号特 集 山陽新幹線開業50年~維持管理・地震対策・改良の取り組み~ 総括編集 神田 政幸 委員 |
![]() |
巻頭言 | 山陽新幹線全線開業50年~建設での苦労と今後の展望~ | 村田 一郎 |
総 説 | 山陽新幹線の過去・現在・未来 | 平郡健一郎 |
各 論 | 山陽新幹線の建設技術 | 松田 好史 |
各 論 | 山陽新幹線土木構造物の維持管理 | 吉田 隆浩 |
各 論 | 山陽新幹線の地震対策 | 藤井 大三 |
報 文 | 山陽新幹線の鉄筋コンクリート構造物の維持管理技術 | 荒巻 智 |
コラム | PCトラス橋(岩鼻架道橋) | 波多野裕侍 |
報 文 | 山陽新幹線の鋼・合成構造物の維持管理技術 | 丹羽雄一郎 |
コラム | PC橋梁の長大化に貢献した山陽新幹線 | 小野田 滋 |
報 文 | 山陽新幹線のトンネルにおける維持管理技術 | 濱田 吉貞 |
コラム | 新関門トンネル | 小野田 滋 |
報 文 | 山陽新幹線の土構造物の維持管理技術 | 森 泰樹・深野 雄三 |
報 文 | 山陽新幹線の大規模改修の取組み | 内田 康大 |
報 文 | 山陽新幹線のスラブ軌道の維持管理技術 | 南里 卓洸 |
報 文 | 山陽新幹線の沿線環境保全のための対策技術 | 新田 琢磨 |
報 文 | 兵庫県南部地震(阪神大震災)による山陽新幹線の被害と復旧 | 石原 利信・芦田 義文・沖村 哲也 |
コラム | 六甲トンネル | 小野田 滋 |
報 文 | 山陽新幹線の早期地震検知技術 | 出口 真進 |
報 文 | 山陽新幹線の土木構造物の耐震補強に関する取組み | 水谷 純也・渡辺 佳彦 |
コラム | 活断層に配慮した新神戸駅 | 金子 雅 |
報 文 | 山陽新幹線における逸脱防止対策 | 柳谷 勝 |
報 文 | 九州新幹線 博多乗入れ 博多駅改良工事 | 吉永 一義・近藤 政弘 |
報 文 | 山陽新幹線における新駅設置・駅改良の概要 | 岡田 康司 |
報 文 | 山陽新幹線の車両基地,保守基地増設 | 橋口 遥介・猿渡 隆史・上田 真彦 |
連 載 | 地盤のばらつき評価と設計・施工への展開 第12回 被災事例・実験を対象とした護岸構造物の非線形地震応答解析 |
一井 康二・大矢 陽介 |
連載企画 | けんせつ小町便り 第111回 | 里見 晃子 |
〈編集趣旨〉
山陽新幹線は1972年3月に新大阪~岡山間が先行開業し,1975年3月に岡山~博多間が開業した。山陽新幹線の建設時期は,高速道路などの社会インフラが大量に建設された高度経済成長期に重なる。このことから山陽新幹線は,慢性的な労働力不足,建設資材の高騰,オイルショックによる材料不足,振動・騒音などの環境保全に対する社会的要請の高まり,新幹線の建設反対などによる工事の遅延の一方で,閣議決定による開業までの短い工期など,様々な厳しい制約や社会情勢の中で建設された。開業以来,国の均衡ある発展や豊かな国民生活の実現に果たしてきた役割は大きい。
国鉄分割民営化以降,山陽新幹線は国鉄からJR西日本が引き継ぐことになる。その後,1999年6月に山陽新幹線のトンネル覆工からコンクリート塊が落下し,走行中の列車を直撃するという衝撃的な事故が発生した。また,同時期に山陽新幹線鉄筋コンクリートラーメン高架橋の中間スラブや張出しスラブからのコンクリート片の落下が相次いだ。加えて1995年1月に発生した阪神・淡路大震災は山陽新幹線にも甚大な被害を及ぼした。JR西日本はトンネルや橋梁・高架橋のコンクリート構造物の維持管理や耐震化を継続的に実施することで,その後も進化を続け,建設後50年経過した今なお日本の大動脈を担う代表的な新幹線路線となっている。
そこで,山陽新幹線開業50年特集として,「山陽新幹線開業50年~維持管理・地震対策・改良の取り組み~」を企画した。本特集号では主として橋梁・高架橋,トンネルおよび盛土の建設技術,その後の維持管理技術,地震対策技術に加え,駅新設や車両基地・保守基地の改良について紹介する。(神田政幸)