2024年6月号特 集 歴史的建物の耐震改修と基礎補強 総括編集 梅野 岳 委員 |
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巻頭言 | 2024年1月能登半島地震の揺れと木造家屋の被害を巡って | 西澤 英和 |
総 説 | 建築基礎の耐震補強の考え方と技術的課題 | 金子 治 |
各 論 | 文化財保存における耐震対策の取組み―基礎補強について― | 西岡 聡 |
各 論 | 歴史的建物の耐震改修における基礎補強の歴史的背景と課題 | 花里 利一 |
各 論 | 高圧噴射撹拌式の地盤改良による杭基礎の補強技術に関する研究と実施例 | 久世 直哉 |
報 文 | 広島県庁舎耐震改修における液状化対策―杭の損傷を防止するための高圧噴射撹拌工法による格子状改良― | 大谷 康二・柴田 景太・徳永 和正 |
報 文 | 香川県庁舎東館の基礎下免震レトロフィット | 佐原 守・大橋 史和・坂井 利光・山木戸勇也・山本 忠久 |
報 文 | 東京タワーの基礎構造と耐震改修 | 國津 博昭・樫本 信隆 |
報 文 | 鎌ケ谷市庁舎免震レトロフィットにおける建物直下でのTBH杭による増し杭補強 | 中川 理 |
報 文 | 広島合同庁舎2号館免震レトロフィット建物外周部増し杭 | 松村 一成 |
報 文 | 国立代々木競技場耐震改修での基礎補強―施工条件に合わせた杭の選定と補強方法― | 伊藤 央 |
報 文 | 北海道大学農学部第二農場の耐震補強における地盤アンカー | 鈴木 律・金箱 温春・辻 拓也 |
報 文 | 弘前れんが倉庫美術館(PFI)での既存煉瓦建築物基礎のRC基礎補強 | 高田 恵美・熊谷 祥吾 |
報 文 | 熊本地震で被災した熊本城天守の復旧 | 堂地 利弘・川本 卓人 |
報 文 | 名古屋テレビ塔(現中部電力 MIRAI TOWER)免震レトロフィットにおけるスラスト制御工法 | 下野 耕一・岡田 秀明・木村 征也・榊原 啓太 |
報 文 | 九段会館テラス免震レトロフィット | 久田 昌典 |
報 文 | 仙台高地簡裁庁舎免震改修工事での地盤凍結工法の採用 | 藤村太史郎 |
報 文 | 礎盤を保存した日本銀行本店本館の免震レトロフィット | 藤森 智・菊地 岳史・藤田 啓史・北村 圭 |
報 文 | 慶応義塾大学図書館免震レトロフィットでの荷重受替え工事 | 篠田 悟・太田 俊也・佐野 大作・久原 寛之 |
報 文 | 歴史的建造物の曳家・改修 | 小池 浩・近藤 睦・中島 一介・小池 悠介 |
報 文 | 世界平和記念聖堂の高圧噴射撹拌工法による地盤改良 | 鈴木 律・石川 明・野津田義幸・小澤 貴史 |
報 文 | 旧渋沢邸「中の家(なかんち)」主屋の保存改修・耐震補強 | 柿澤 英之・西川 航太・貞広 修 |
報 文 | 広島平和記念資料館本館―免震レトロフィット工法による重要文化財建造物の保護― | 広島市・内海 勝博・冨永 善啓・北 卓也・近藤 隆幸・佐々木明博・松田 健一 |
報 文 | 国宝薬師寺東塔保存修理工事における代替基盤 | 貞広 修・木村 誠・桐山 貴俊 |
連 載 | 地盤のばらつき評価と設計・施工への展開 第3回 高性能計算を利用した断層変位解析における地盤のばらつきの影響評価 |
羽場 一基 |
連載企画 | けんせつ小町便り 第102回 | 岩崎 理代 |
〈編集趣旨〉
歴史的建物(国の重要文化財から,都道府県の登録文化財等)は,文化的な価値により,保存の一環として耐震改修が行われ,基礎補強に至る場合がある。また,霞が関官庁街をはじめ都道府県の本庁舎では,古い建物への地震入力の低減を目的に,基礎免震化のための大規模な基礎改修が行われ,建物利用を中断することなく耐震化を図る免震レトロフィットが,阪神淡路大震災を契機に盛んに行われて来た。
一方,建築基準法では,大地震動に対する耐震設計は上部構造に限られ,基礎構造は中地震動を相手にした許容応力度設計のみが要求され,大地震時の耐震性能は問われない。その為,建物の機能維持や財産保全の観点からの基礎の耐震化はなかなか進まない。折しも今年元旦に発生した令和6年能登半島地震では,杭の損傷によるとも推測されるRC建物の転倒により尊い人命が失われ,基礎構造の一層の耐震化の必要性が浮き彫りとなっている。
本特集では,歴史的建物の耐震改修事例に焦点を当て,建築基礎の耐震補強技術の現状を報告する。(梅野 岳)