2021年8月号特 集 大地震に備える基礎工~震動低減・損傷抑制による高耐震化 総括編集 神田・梅野 両委員 |
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巻頭言 | 基礎工に関する地震工学的研究課題 | 佐藤 忠信 |
各論 | 建築分野における基礎工の耐震設計の現状と関連する技術開発の取組み | 新井 洋 |
各論 | 道路分野における基礎工の耐震設計の現状と高性能な基礎工開発の取組み | 矢部 正明 |
各論 | 鉄道分野における耐震設計の現状と高性能な基礎工開発の取組み | 室野 剛隆 |
各論 | 港湾分野における耐震設計の現状と高性能な基礎工開発の取組み | 小濱 英司 |
報文 | 大地震動を想定した杭頭半剛接合構法の性能検証と試設計 | 小林 治男 |
報文 | 大地震動を想定した杭頭半剛接合工法の性能検証と設計事例-場所打ち杭:キャプテンパイル工法- | 宮田 章・國末 晃寛・斎藤 忠幸 |
報文 | 既存杭活用のための杭頭絶縁基礎工法の研究開発の現状 | 柏 尚稔・中川 博人・中井 正一 |
報文 | 大地震を想定した深層混合処理工法の設計事例 | 木原 拓也 |
報文 | 地震動に対する宅地の振動低減効果:D・Box工法 | 野本 太 |
報文 | 建物―基礎―地盤の動的相互作用を考慮した大地震動時の設計への実用例 | 中溝 大機・貞許 美和・小板橋裕一 |
報文 | 格子状地盤改良を活用し極大地震に対して杭の安全性・健全性を確保した基礎構造の設計事例 | 熊野 豪人・佐分利和宏・前川 元伸・内山 元希・濱田 純次・重野 喜政 |
報文 | 地盤改良を用いた杭基礎の耐震補強および振動低減技術 | 足立 有史・浦野 和彦・西尾 竜文 |
報文 | 性能向上とコスト縮減を両立する杭基礎一体型鋼管集成橋脚の開発 | 曽我 恭匡・磯部 公一・澤村 康生 |
報文 | 高架橋の拡幅に伴う基礎の耐震補強 | 松原 拓朗・内海 和仁 |
報文 | ポリマー免震工法を適用した既設開削トンネルの設計・施工 | 桐生 郷史・室野 剛隆・川西 智浩 |
報文 | 杭と土のうを併用した基礎免震工法への取組み | 土井 達也・室野 剛隆・張 鋒 |
報文 | 免制震構造化による大規模鉄道PC橋の耐震補強 | 豊岡 亮洋・中田 裕喜・宇野 匡和 |
報文 | 損傷抑制型杭頭結合を用いた鉄道ラーメン高架橋 | 佐名川太亮・神田 政幸 |
報文 | 地盤改良体による耐震強化岸壁の構築技術 | 高橋 英紀・河田 雅也・小西 一生・徳永 幸彦 |
報文 | アーク矢板土留めとジャケットを一体化した横桟橋工法 | 田中 祐人 |
報文 | 直杭式桟橋への制振部材の適用 | 近藤 明彦・小濱 英司・国生 隼人・永尾 直也・吉原 到 |
連載企画 | けんせつ小町便り 第68回 | 山下 文 |
〈編集趣旨〉
2016年熊本地震での震度7の連続発生,大阪府北部地震,北海道胆振東部地震など,強い揺れと深刻な被害を生じた地震が続いており,南海トラフ巨大地震をはじめ,大地震発生への切迫感が増大していると感じられる。
持続可能で災害に強い社会を実現するためには,構造物の耐震性能の確保と向上が喫緊の課題であり,特に基礎工や地下構造物については,被災後の復旧に時間を要することから,想定を上回る大地震動に対しても,被害を限定的に留め,震災後早期に復興が果たせるよう事前に対策を施すことの重要性の観点から,地震レジリエンスの強化が認識されつつある。
本誌では,たどること19年前の2002年12月号特集「基礎構造における震動制御の工夫」で,基礎工への地震動入力の低減技術を取り上げ,入力震動の低減を目標とする技術開発の当時の状況を特集した。本特集では,その後の研究開発の成果と実際に採用された事例として,「基礎工の損傷や破壊を低減する技術」や「基礎工の粘り強さや損傷抑制効果を向上させる技術」に着目した。また,耐震性を特段に強化した工法や既存基礎工に高耐震性を付与する工法等を加え,テーマを拡大して大地震に備えるために高性能化を図った基礎工を特集した。基礎工の一層の耐震化に向けて,技術開発の推進と実用化への一助になれば幸いである。