2021年6月号特 集 排水工法と遮水工法 総括編集 総括編集 石川 明 委員 |
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巻頭言 | 地下水との戦い | 高坂 信章 |
総説 | 地下水排水工法の課題と対策 | 西垣 誠・科野 健三 |
総説 | 地下水流動・水収支と地下構造物の関連を考える-地下水流動系からの排水という観点から- | 徳永 朋祥 |
各論 | 地下水流動解析による地下水挙動予測の現状と課題 | 菱谷 智幸・坂東 聡 |
各論 | 地下水リチャージ工法の課題と現状 | 山田 祐樹・元井 康雄・冨安 祐貴 |
各論 | ICT活用による群井戸の自動制御 | 笹岡 里衣・永谷 英基 |
各論 | 地下水を揚水するディープウェル施工時の管理ポイント | 高橋 直人 |
各論 | 真空併用型ディープウェル排水工法の設計の考え方と施工管理のポイント | 西原 聡・千葉 浩二・本多顕治郎・植松 祐亮・竹島 孝二・西村 修一 |
各論 | ソイルセメント連続壁の遮水性に関する留意点 | 篠澤 崇浩 |
報文 | 掘割道路における地下水保全対策と対策効果 | 星野 裕二 |
報文 | 新東名高速道路建設事業による湧水への影響と地下水保全対策 | 川治 晃・一双 宏子 |
報文 | 大阪市における被圧地下水の分布傾向と建設工事の関係 | 長屋 淳一・北田奈緒子 |
報文 | 開削工事における地下水流動阻害の評価法 | 松丸 貴樹 |
報文 | 臨海部の大深度開削トンネルにおける盤ぶくれ防止のための地下水対策の計画と管理 | 藤名 瑞耀・坂本 明伸・神田 基・太田 匡司 |
報文 | 掘削工事に伴う盤ぶくれ対策への真空併用型バキュームウェル排水工法の適用事例 | 西原 聡・千 葉浩二・本多顕治郎・植松 祐亮 |
報文 | スコリア層でのトンネル掘削における湧水対策 | 原島 大 |
報文 | 地下鉄営業線拡幅工事における柱列式地下連続壁の施工 | 城石 尚明・廣元 勝志・西川 祐 |
報文 | 水中重量コンクリート打設による鋼管矢板井筒基礎の盤ぶくれ対策 | 橋本 啓・山下 恭敬・十河 浩・中島 与博・脇岡 宏行 |
報文 | バンコク地下鉄駅工事における立坑底盤の遮水工事例 | 李 旻儒・王 錦伍・Prasert Chantawiboon・畠山 和行 |
報文 | 大深度ソイルセメント壁の高精度な施工による湧水量の低減 | 井口 博・岸田 了・石川 明 |
報文 | 市街地での建築地下工事における複数種の遮水壁を用いた地下水処理の事例 | 中島 朋宏・濱田 幸弘・山下 秀行・佐川拳太郎 |
報文 | 粘土混合遮水壁における現場透水試験の適用性 | 東 龍道 |
連載企画 | けんせつ小町便り 第66回 | 馬場ちあき |
連載 | 次世代へ伝えたい私の思い 第42回 建設技術には工学的知識に加え近隣住民との融合が必須 | 北川 修三 |
インフォメーション | 令和2年度地盤工学会賞受賞者の決定/(公社)地盤工学会 |
〈編集趣旨〉
我が国は総じて地下水位が高いために地下工事の間,継続して地下水を揚水する必要がある。環境面や地下工事の安全性,工事原価に与える影響など,地下水への対応が地下工事に与える影響は大きい。このため,地下水をどう処理するか―「排水するか」or「遮水するか」―は,技術者の力量が問われる選択肢となっている。
地下水処理の問題は“古くて新しい問題”でもある。近年では,3次元地下水浸透流解析を用いた地下水流動の評価,ICT技術を利用した地下水制御,大深度遮水壁の構築技術,など新しい技術の進展が見られる一方で,揚水量や水位変化量の予測精度,ディープウェル・リチャージウェルの施工品質のバラツキなど,まだまだ技術的な進歩が必要な課題もある。
本特集号ではこうした状況を鑑みて,地下水処理の問題を「新しい技術開発の動向」と「基本に立ち返るべきポイント」の2つの側面から捉え,各論・報文を構成した。総説では地下水を空気と同じような公共の共有財産としてとらえ,広域的な観点から地下水循環を考える上位の考え方についてもご紹介頂いた。本号が,地下工事と地下水の問題をいろいろな切り口から俯瞰するきっかけになれば幸いである。